寺子屋俳句!(H.29~30年度)

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8月の俳句

綾 子 作

・「豪雨去り 深き傷跡 いつ治る」

 

・「夏野菜 水に漬かりて 泥かぶる」

 

この度の豪雨災害のお見舞い申し上げます。大変な被害状況の中に、片付けがいつ終わるのか見通しも立たない中、台風が日本列島を直撃…。自然の猛威が次々と襲ってきます。途方に暮れる中の句は、心が張り裂けそうです。早い復興を念じます。(8.2)

7月の俳句

裕 子 作

・「なるように なれと願いし 短冊に」

 

自然は予測不能…農家の方にとっての自然災害は生活に直結する問題です。七夕を控え、お飾りなど飾る。その願いを告げる短冊が上の内容でした。天の声はどのように聞いて下さるのでしょうか。

「なるようにしか ならない…」真面目に黙々と農業の仕事をされてきた方の力強い心根を聞かせてもらいました。(7.7)

6月の俳句

綾 子 作

・「梅雨入りて 紫陽花の色 瑞々し」

 

・「夏野菜 作る楽しみ 生きる道」

 

 梅雨はジメジメして嫌な時もありますが、反面、紫陽花の花を生き生きと輝かせたり野菜の成長に欠かせない時でもありますよね。元気で畑仕事に精を出し働かれているお姿が目に浮かびます。野菜からも元気をもらっていらっしゃるのですね。

裕 子 作

・「米作り 励む米寿の 底力」

 ご尊父様の米寿おめでとうございます。句と一緒に子孫に囲まれて笑顔のお父様の写真が届きました。終戦後、どん底の中から日本を創ってこられたこの年代の方の底力は計り知れないです。若者より若々しい力の感性と創造力に溢れていますよね。教わりたいことばかりです(6.22)

5月の俳句

裕 子 作

・「年老いた 父母の指揮下で 田植えする」

 

・「足元の 空も眩しく 苗植える」

 

・「オタマよけ ヒル追い払い 苗を挿す」

 

子、孫、曾孫で田植えをしている写真が届きました。ありがとうございます。今ではあまり見ることができないよき時代の田植えの写真ですね。この時ばかりは老体にムチ打ち、田植えに励まれている父母の姿が浮かびます。曾孫の目にもしっかりと焼き付いていくことでしょうね。(5.29)

 

・「そっと乗り 葉に腰かける 山法師」

 

山法師の花でしょうか。白い花がそっと葉に腰かけている…のですね。「山法師」と名付けられたのも素敵ですね。緑が濃くなって初夏を思わせる中、山法師が涼やかな顔で空を見上げている姿が想像できます。

清 光  作

・「先人の 知恵すぐれきの いし棚田」

 

・「人の世の 生まれ死する いま念仏」

 

久しぶりに投句ありがとうございます。「いし棚田」写真入りで送って下さいました。棚田が石がきで作ってある景色は初めて見ました。丁寧な作業に驚きました。それが崩れずに残っているところに、先人の知恵の奥深さを感じます。(5.12)

 

裕 子 作

・「横たわる 大樹に寄り添う 新芽あり」

 

横たわる大樹…の状況を想像します。その横で新たな命の新芽が芽生えている。自然の道理(摂理)を歌ったのでしょうか。でも、希望がありますね。(5.10)

4月の俳句

綾 子 作

・「米寿来る 長き短き 春の夜」

 

・「新緑の 闇を歩き 世忘るる」

 

・「亡き夫 造りし園に 春告鳥」 

 

 綾子様、米寿おめでとうございます。いつも若々しい歌を送ってくださいましてありがとうございます。2句目は明暗の苦労多き人生を渡ってこられた方ならではの味わい深い歌ですね。どうぞお元気で、歌を作り続けて下さいね。(4.19)

裕 子 作

・「いま生きて おればこその 桜かな」

 

・「老いてなお ひこばえ見守る 親桜」

 

 桜の花が光に満ちて、眩しい春の日の華やいだ景色の中、伐った木の根株からひこばえ(孫生の意)がそっと芽を出し、花をつけた。その花を包み込むように親桜が見守っている。

 桜の季節は眩しすぎて、私は少し苦手ですが、この句の世界は安らげます。

3月の俳句

綾 子 作

・「野良猫や 倉庫の隅で 無事お産」

 

・「年度末 申告すませ 肩軽し」

 

・「暖かき 日続きたりし つぼみ咲く」

 

いずれも春3月らしい句を送って下さり、ありがとうございました。倉庫の隅でひっそりとお産をするノラ猫。それを暖かな眼差しで見ておられる綾子様。私も暖かい心になりました。「頑張って生き抜いて」そんな声がきこえてきます。蕾をみるだけで春が来たと思わせてくれますね。満開の花を待つワクワクと喜びが溢れています。(3.20)

 

裕 子 作

・「梅香る 言葉が杖に なればこそ」

 

 梅の香りが気になるいい季節になってきました。

上の句は、親の事を思っておられるのかな?それとも自分自身の事?

身体は昔みたいに自由がきかなく、情けない…。子どもたちや孫たちの優しい言葉が今の自分の杖となり、支えてくれる…。なんとも味わい深い句ですね。 

H.30 2月の俳句

裕 子 作

・「イノシシの 遊ぶ畑に 柵を張る」

 

・「温もりの 残る畑に 種をまく」

 

 春めいてきました。畑仕事もいよいよ始動開始のでしょうか。作物を荒すイノシシ対策として、畑に柵を張ってはみたものの、イノシシにとっては悪意?のない運動場みたいなもの…私も同じように感じる時があります。ただ農業をしていない私が言うのはおこがましいですね。

綾 子 作

・「雪の華 深々降りて 自然の美」

 

・「朝日射す 窓を開ければ 銀世界」

 

・「スケートは リンクの上で 和をしめす」

 

 今年は本当に雪が沢山降りました。雪が多いと生活に支障をきたすこともありますが…、雪が光に輝いて美しい世界を何度も見せてくれました。

窓一つで繋がっている銀世界はこの世のものかしら?と思えるくらい、深い驚きですね。 

裕 子 作

・「うなだれる 頭の横で 梅ひとつ」

 

 「うなだれる頭」。ふと気づくと梅の花、じっとこちらを見ていて、心配してくれているかのようです。誰にも打ち明けられないこともある。でも、頭を上げることで見えてくることもある…とこの句は教えてくれているのかな…。

裕 子 作

 ・「極寒の 選手のために 汗をかく」

 

 ・「柿の木を 倒して梅の木 現れる」

 

 韓国でオリンピックが始まっています。手に汗握る熱戦がくりひろげられています。日本選手の頑張る姿に、テレビ越しからも応援せずにはおれません。気持ちがよくわかります♡

 これまで視界をさえぎってしまうf古い柿の木を伐採したら、梅の木が現れた…古木を片付ける作業は辛かったと思います。でも、はるを告げるかのように、梅の花が咲いてくれるのでしょうね。楽しみですね。(2.16)

12月の句

裕 子 作

 ・「清き日に 落ち葉重なり 七五三」

 

 ・「水色が お気に入りなの 七五三」

 

 ・「七歳に 五歳三歳 勢揃い」

 

 三人のお孫さんの「七五三」おめでとうございます。落ち葉の中、お気に入りの水色の晴れ着を着たお孫さんを、微笑ましくみつめていらっしゃる作者と作者のお母様(ひいばあちゃん)ですね。孫の行事一つに、我が母の思いが伝わります。「この歳になってやっと親の思いを汲み取ることができる…」作者も同じ思いでしょうか?

11月の句

裕 子 作

 ・「負うた児の 寝息に合わせ 夢うつつ」

 

 ・「児の笑顔 来る年も見たし 散歩道」

 

 「1句目は季語ない」と送って下さいました。この句はよく感じがでていて「わかる!」そのままで載せました。私も孫守りの最中、安らかな寝顔を見ていると、こちらもまぶたがくっついてきます。慌てて目を覚まし、また眠気…安穏な時間です。

綾 子 作

 ・「日に日にと 色染りつつ 秋の山」

 

 ・「さつまいも 痛まなき内 冬ごもり」

 

 ・「年重ね 愚痴重なりし 夜空見る」

 

 秋が深まり山々も美しく色を添える頃となりました。また、さつまいもも季節を感じて「冬ごもりする」のですね。どんな様子でサツマイモなど保存されるのでしょうね。日本人の知恵袋である綾子様に沢山の事を教えていかだきたいです。

裕 子 作

 

 ・「小さき母 曾孫に気付ける 七五三」

 

 ご実家のお母様が孫のために着物を着せて下さっている。その孫の成長の早さに対して、お母様のお姿が小さく目に映った…とあります。「諸行無常」とありますがすべてが変わりゆく中、孫の成長も親の老いも、無常の中の味わいなのですね。身につまされる句です。

綾 子 作

 

 ・「曾孫の 写真着きたり 深と見ゆ」

 

 ・「国体も 無事に終わりて 秋の風」

 

 ・「秋野菜 無農薬です 自慢かな」

 

 秋が深くなるにつれ、遠くに住む方からの手紙や写真は嬉しいですね。

曾孫の写真が届き、深々と見入っておられるお姿が目に浮かびます。どうぞお元気で、曾孫さんの成長を見守ってあげて下さい。

10月の句

 

裕 子 作

 ・「ミゾソバを 目デッサンする 刈る前に」

 

 ・「久々の 出会い嬉しき タイコウチ」

 

一気に秋が進んできましたね。そんな中の嬉しい出会いを歌にして下さいました。芸術の秋…ミゾソバも上手にデッサンできましたか?芸大出身のあなたの手にかかれば、ミゾソバもデッサン対象になるのね。すてき!

 

清 光 作

 

 ・「お月見の 写メをデコりて 子に送る」

 

 ・「秋風に 風船かずら 種ハート」

 

「今年のお月見は遠かった」そうですが(眺めることができなかった)しゃしんを送って頂き有難うございました。風船かずらの種がハートの形?新しい発見です。幾つになっても(笑)驚きときめきは忘れたくないですね…。有難う。

 

9月の句

 

裕 子 作

 ・溢れ咲く 子の手のひらに 曼珠沙華

 

お彼岸を代表する華、曼珠沙華ですね。私の中のその華のイメージは「妖艶な大人の女性」ですが、それが純粋無垢な子の手のひらにあるのが面白いです。お散歩の道中?田んぼのあぜ道?いずれにしても子の手のひらに収まった華は何を思っているのでしょうね。

8月の句

綾 子 作

 ・里帰り 曾孫囲みて 夏座敷

 

 ・幼子は 暑さ忘るる 平和顔

 

 ・縁側で 夏の夜空を 眺めをる

お盆に曾孫さんご一家が帰省され、お迎えされたときの様子を句にして下さいました。「夏座敷」何とも味のある、想像力を掻き立てる言葉ですね。楽しい団らんの笑い声が聞こえてきそうです。

 三句目は、曾孫さんが帰られた後、読まれた句でしょうか。一人見上げる夜空は寂しいけれど、この夜空は曾孫さん達もまた、見上げるのでしょうね。(8.23)

 

6月の句

綾子作

 

 ・梅雨入りて めぐみの雨で 稲満たす

 

 ・紫陽花の 色端々し 見事なり

 

*この季節を代表する二句ですね。「梅雨」「紫陽花」と、とても美しい情景が浮かんできます。家の庭の紫陽花もいつの間にか色付き、楽しませてくれています。本当に、紫陽花は雨がよく似合いますね。いつも美しい句を有り難うございます。(6.20)

清光作

 

 ・生きるには 水なくしては いきられぬ

 

 ・晴れもいい 雨もまたいい ありがたや

 

*今回は季語抜きの清光さまの率直な句ですね。日頃あるのが当たり前の水が有難く思える。この梅雨の時期、うっとおしいと思う位の雨ですが、それも恵みの中…すべてが生かされている、と感謝せずにはおれません。(6.9)

 

 ・お田植を 終えてながむる 空青し

 

 ・晴天の 茶摘みする手に 風そよぐ

 

*ご投稿いつも有り難うございます。綾子さまの日々を読んでくださり、いつもほっこり…地についた生活が愛おしく感じられてきます。仕事で汗ばんだ額を、爽やかな風が拭ってくれていますね。(5.12)

 

3 月 の 句

綾 子 作

 

 ・春風が 曾孫の写真 届けたり

 

 ・残雪や ちらりと見ゆる 草花よ

 

*いつも投句を有り難うございます。2句目は季語が重なってしまいましたので「草花」に代えさせて頂きました。投句は「水仙」…とあります。確かに白い雪に黄色い水仙の花は色が美しく、栄えますよね。(3.15)

 

裕 子 作

 

  ・草餅に 母摘むヨモギ 匂い立ち

 

 ・ひばり発ち 野の足元に 巣かごあり

 

*ヨモギのお餅は懐かしい母の味ですね。こちらまで摘み取ったヨモギが匂ってきそうです。どんな鳥が巣立っていったのでしょうね?3月は新たな旅立ちの日…別れの時でもありますね。(3.6)

 

裕 子 作

 

 ・春めくも 枯草焼けぬ 土手に立つ

 

 ・背の寝息 菜の花見せたい 孫眠り

 

 ・春風に 吹かれヨガする 両の手で

 

 ・子を想い フグリ花咲く 野にしゃがむ

 

*春めいてきました。土手の草焼き、ご苦労様でした。野菜を作っておられる農家の方にとっては、大切な仕事。その枯れ草が思うように焼けない。ふと見ると土手には自分一人…大地に根を張る農家の嫁の逞しさを想いました。

 お母様が「フグリ花」がお好きでしたね。「子を想い」はご自身とお母様の思いが重なっているのでしょうか?「野にしゃがむ」はいいですね。(2.27)

 

2 月 の 句

 裕 子 作

 

 ・神宮に 巨木居並び 影落とす

 

 ・ひっそりと 神馬まします 神宮に

 

 ・神域に 浅沓響く 冬の朝

 

*お伊勢参りをされ読まれた句と伺いました。「季語がない」ということですね。たとえば、一句目「神宮に巨木の影落つ〇〇〇」二句目「ひっそりと神馬まします〇〇〇」を〇〇〇の所に「春寒に」とか「薄氷に」とか「凍解に」等入れる?「伊勢参り」はズバリ春三月の季語らしいですよ。

いずれにしても、発想が素晴らしく、情景がすぐに浮かんできます。有難うございます。(2.20)

 

綾 子 作

 

 ・初雪や ひらりひらりと 舞う如く

 

 ・曾孫の 安産祈る 我が身かな

 

*今年の初雪はひらりひらりと始まりましたか。また寒波がやって来ていますね。春にはまだ遠い気候ですが、そんな中、曾孫さんの誕生は嬉しいです。無事に生まれてくることを祈るのみです。(2・8)

 

 

清 光 作

 

 ・節分の 鬼福うちの 我が心

 

 ・ストーブを 点火して待つ まご下校

 

 ・オシドリの 春はそこまで 待ち遠し

 

*寒い寒いと言いながらも、暦通り、春を薄っすら感じる頃です。

豆まきといい、寒い中、お孫さんの帰りをストーブを付けて待つおばあちゃんならではの心遣いに、温かいものを感じます。春はそこまで…(2.8)

1月の句

 

清光作

 ・木枯らしや 何処に行ったか わが友よ

 

 ・冬こもり ぞうきんの詩 有り難う

 

*寒さが身にこたえる季節。そんな中、朋を亡くされた哀しい歌ですね。死んだ先はお浄土に…朋と再会できる日まで、残されたもの同士頑張らねば…。でも、頑張れない日もあるよね。(1.12)