それでも、それは起こった (2024.2.14.更新)
元旦のその日、能登半島を震源とする大地震が起こった。新年を寿ぐその日にである。新年を実家で過ごすために帰省していた子供や孫が被災して亡くなった。そんなばかな、そうつぶやかずにはおれない。新年を祝う家庭は愁嘆の声に包まれた。
火宅無常の世をこのたびもまた思い知らされた。あるはずのないこと、決してあってほしくないことが当たり前のように起こる。ただただ目の前に広がる現実に声を失い、涙して立ち尽くしか術がない。こんな時に私たちにいったい何ができるのか。
どうしようにも、どうすることもできない現実に向き合った私たちに、阿弥陀様はお念仏を下された。念仏せよ、必ず救う。この娑婆のどうすることもできない苦しみにのたうち迷う私たちに、真実の救いの世界がここにあると極楽浄土を示し、その光のなかに照らして道を示してあげたい。本当の安楽を知らない私たちに本当の安楽を与えてあげたい。
このたびもまた、如来様のお慈悲をかたじけなく偲ぶことであった。